ライフゲームは1970年にイギリスの数学者ジョン・ホートン・コンウェイが考案した生命の誕生、進化、淘汰などのプロセスを簡易的なモデルで再現したシミュレーションゲームである。
ライフゲームのルール
ライフゲームには勝ち負けも目的もありません。あるのは生と死です。延々と眺めるのです。
- ライフゲームでは各セル(マス)を一つの生命として扱う。
- セルは「生」と「死」二つの状態を持っている。
- ゲームを開始すると盤面は世代交代していく。
- 次世代セルの生死は隣接するセルの生死によって決まる(このサイトでは「生=黒、死=白」としている)。
- 誕生
- 死んでいるセルに隣接する生きたセルがちょうど三つの場合、誕生する。
- 生存
- 生きているセルに隣接する生きたセルが二つか三つの場合、生存する。
- 過疎
- 生きているセルに隣接する生きたセルが一つ以下の場合、過疎で死滅する。
- 過密
- 生きているセルに隣接する生きたセルが四つ以上の場合、過密で死滅する。
セル(生命)は過疎や過密で死滅したり、新たに誕生したりしながら世代交代を繰り返します。世代交代によってセルはぐんぐん繁殖したり、あるいはあっというまに絶滅したり、ときには反復運動をして規則的な模様を描いたりします。
知的好奇心をくすぐる複雑系科学
複雑系科学というのが大好物で、ライフゲームも『複雑系』という本で知った。
複雑系―科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち (新潮文庫)
複雑系の知識に触れさせてくれる刺激的な本で、特殊な前提知識がなくてもスラスラ読める。眠たい解説本かと思いきや知的興奮にあふれたドキュメンタリーなので眠れなくなる。
以下、関連分野の面白かった本をご紹介。
集合知をさまざまな角度から考察した本。「集団の意見は一人の専門家の意見より優れている」を軸に、事例を交えて考察するスタイル。原本が2004年なのでWikipediaなどWebの話こそないが、古さは感じない。余談だが「牛の重さをあてる話」を知人にドヤ顔で披露したらウケがよかった。
創発という現象をざっくり知ることができる本。自己組織化の事例がいっぱいあって面白い。ただし「なんでそうなるの?」という解説は少ないので、上で紹介した『複雑系』を読んだ後の方が楽しいと思う。余談だが「蟻が墓をつくる話」を知人にドヤ顔で披露したらウケがよかった。
ネットワーク・サイエンスというらしい。ネットワークというとインターネットが思い浮かぶが、本書はインターネットの他にもエイズの急速な広がりやマイクロソフトのひとり勝ち、アルカイダの組織構造など「ハブ」と「リンク」をキーワードに様々なネットワークを扱っている。この本の著者は難解な話をできる限りわかりやすく、できる限り面白く説いてくれているのだと思う。世界の捉え方を変えてくれた一冊。
ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか
「流行」の仕組みを考察した本。一見無関係な小さな要因、それが巡り巡って大きな結果となり眼前に現れる、そんな「風が吹けば桶屋が儲かる」ようなお話。この本は流行の「仕組み」の考察であって、流行の「起こし方」のハウツーではない。複雑系の並びで紹介する本かは微妙だが、上で紹介した本に興味を持つ人なら面白いと思う。